MEMORIAL GAMESに戻る

   ピーター足踏みクッキング

題目:スーパーバーガータイム
                        
■メーカー:データイースト
■メディア:アーケード
■ジャンル:アクション
■発売年 :1990年



 かの不条理アクション『ハンバーガー(『バーガータイム』の名の方が有名)』の正統な続編。
あまりに奇天烈なノリと独創性に溢れた前作と比べ、本作にはいかなスパイスが…。











食うか食われるかの戦い?

 プレイスタイルはサイドビュー形式。各フロアの床には巨大なハンバーガーの具材が設えられていて、
それらを全て落としてハンバーガーを完成させればクリア――それが基本的なゲームの流れとなる。前作
で既に確立されていたシステムだけれど、この時点でその発想力に脱帽しちゃうよなあ。

最早伝説的な奇作『ハンバーガー』。
敵キャラのお洒落なネーミングが何とも…。

そして後継作たる本作。『スーパー』の名に恥じず、
ゲーム性もノリの濃さも超パワーアップ!?



目玉焼きが溢れ返り、ピーターをジリジリ追い詰める!
一見コミカルだけれど、本質的には『ゾンビ』と同じか…。
 その調理を妨害してくる敵
キャラだが…これも前作譲り
で、
ウィンナーや目玉焼き、
ピクルス
といった食材軍団!
 主人公がコックなだけに、
食物が敵なのは自然と言えば
自然だが、このノリはあまり
にシュールである。だって、
牛や豚の様な「生物」じゃな
く、加工済みの「
食品」がワ
タワタ追いかけて来るのよ?
想像してみたら空恐ろしい。
既に命失せし者の反乱か…。
 植物系のキャラにしても、
襲い来るのはニンジンやタマ
ネギ、トウモロコシみたいな
馴染みのお野菜。まるで洋画
ホラーの『キラートマト』の
ゲーム版である。普段何気に
扱っているものが、突然生命
を得て襲い掛かって来たら…
と思うとちょっと怖い^^ こ
ういう点は、やはり洋画ホラ
ーの『ポルターガイスト』に
通ずるものがあるかも?


しかし、さすがに前作より格段にハード性能の進歩した時代の作品だけあって、印象はかなり変わっている。


 前作はそのシンプルさ故に、食材達との無
言の戦闘に何とも言えないシュールさと戦慄
を覚えたものであった。今やっても怖いし^^
 それが『スーパー』になって、美しいグラ
フィックと華やかなBGMを引っ提げて帰っ
て来たのである。児童アニメを思わせるメル
ヘンチックなテイスト、おとぎの国の住人の
如き愛らしさを振り撒く敵キャラ達――前作
から見れば「一体どうしたんだ!?」って言う
くらいの変わり様♪

目を爛々と煌かせながら追いすがる食品達…。
一体どこの世界の悪夢!?

絵本の1ページみたいなステージに、可愛いお野菜さん達♪
掛けるフィルターひとつで印象なんかどうとでも…。


 その時代のハード性能とセンスをもって
リメイクされたんだから当然ではあるけれ
ど、それでもビックリ^^ やっぱり、作品
のイメージなんて見た目(グラフィック)
でどうとでも変わってしまうものなんだな
あ。『式神の城』と『弾銃フィーバロン』
だって、オール線画でサウンド無しにした
ら見分け付かないし…。











前より美味しくなった♪

 しかし本作、単に表面的なリメイクに止まらずに確実な進歩を遂げている。代表的なのは、
マイキャラたるピーターペッパーのアクションであろう。


 前作では、マイキャラ
はとにかく走り回るしか
なかった! 走ることで
ひたすら敵キャラから逃
げまくり、ドサクサ的に
ハンバーガーの具材の上
を通過して落とす――ほ
とんどこれが全てだった
のである。後は強いて言
えば、敵キャラを麻痺さ
せるコショウを振り撒く
くらい。それだけのアク
ションでかなり高度なゲ

ひたすら逃げつつ、苦し紛れのバーガー作り!
仕事は大切だが、命あってのものだね…。
ーム性を築いていたのは
さすがだが、やはりこれ
だけでは厳しい面もあっ
た。
 大勢の敵達に追い詰め
られ、コショウも尽きて
にっちもさっちもいかず
――そういう局面に陥る
ことがしょっちゅうだっ
たし。ともすれば、ハマ
リ状態になって物理的に
クリア不可能と化すこと
もしばしばであった。


 それが『スーパー』では、新アクションの「ジャンプ」「ストンピング」が加えられた。
これによって、前作の抱えていたマイナス点が一気に解消! ストレスの溜まらない、ポッ
プで軽快なコミカルアクションへと昇華したのである。


 例えば「ジャンプ」。前作では、隅に追い詰
められたらもう死ぬしか道は無かった。敵を跳
び越えたり向こう岸へ跳び移ったりなんてのは
儚い夢だったのである。それが『スーパー』で
はできる様になった! ただこれだけで、死亡
率がグンと下がったばかりかアクションゲーム
としての幅も大いに拡がったのである。本当、
やっていてどれだけ軽快なことか…。
 一般的にアクションゲームではごく当たり前
な「ジャンプ」という動作だが、その存在意義
のデカさをここに思い知ることができる。これ
の扱い様が、ゲーム性の拡がりやストレスの増
減に多大に影響することを覚えておくべし!

コショウ片手に、ヒラリ宙を舞うピーターペッパー。
「跳べねえコックは只のコックだ」 そりゃそうだけれど…。



ピクルスに追われつつ、下段の敵をプレス!
死線を潜り抜けつつ作ったバーガーの味は…。
 そして、肝心のハンバー
ガー作りの方。前作では、
具材の上を均等に通過する
ことで落としていたが、本
作ではそれは廃止。代わっ
て、ジャンプ等で跳び乗っ
た時と、レバー下+ジャン
プの「ストンピング」で落
とせる様になった。
 この思い切った変更は大
成功だったと思う。だって
前作は、やり方がやり方だ
けにあまり戦略的なことが
できなかった。ひたすら敵
から逃げまくって、その最
中のドサクサに落としてゆ
くのが一般的だったもの。
それで運良く敵を潰したり
できれば御の字っていう感
じで。つまり、バーガー作
りは二の次で、逃げ回るの
が基本。悪く言えば「本末
転倒」だったんだよねえ。
「ハンバーガー作り」とい
う明確な目的があるのに、
これは頂けないと思う。


 でも今作は「ジャンプ」で敵をやり過
ごしつつ、下に敵が来たら「ストンピン
グ」で即行潰し…という具合に、自分の
見計らったタイミングで具材落としがで
きる様になった。それだけ、プレイヤー
がゲーム中の事象に介入できる要素が増
えたのである。自分の思いのままにゲー
ム中で立ち回れるのがどんなに快感か、
アクションゲーマーならお解かりであろ
う。前作をやり込んだ者であれば尚更。
にっくき食材どもを引き付けて、具材の
一撃でまとめてプレスしてやるのがいか
に痛快であるかが…。

下段のウィンナーを、バンズ(パン)の洗礼で圧殺!
墓標代わりに立派なハンバーガー作るから、安心して逝け!


 他、武器や補助アイテムが多数加えられたことに
より、敵キャラと対等に渡り合うことが可能となっ
た。前作がコショウのみであったのと比べると、本
当に目覚しい躍進である。ただひたすら逃げまくる
だけよりは、自ら血路を切り開く方がやっていて絶
対楽しいし。追いすがる食材どもを、各種調理器具
を振るってやっつけまくるのが快感なのよね〜。報
復って本当に気持ちイイ♪

「エイャッ!」 目玉焼きをバーベキューの串で一閃!
1ミス防御のマントも纏っているし、強気で行こう!

最強の武器・ポリタンクで、ウォーターマグナム連射!
調理は、まず最初は食材の水洗いから…。



ワールド1のラスト。最初のボス戦ながら、その攻撃は熾烈!
安全地帯を見切って、怒涛のバーガー弾を叩き込め!
 本作はまさしく「スーパー」の名に恥じな
い出来映えだと思う。新たに加えられたアク
ションの分だけ、確実にゲームとしての作り
の幅が拡がっているし。まさに「進歩」「発
展」という言葉が映える。素体にほんのちょ
っと装飾を加えたことで、非常に遊び易いゲ
ームに仕立て上げたのだから立派である。
 逆に言うと、前作がちょっと素っ気無さ過
ぎて手詰まり気味だったのを、この『スーパ
ー』において補完――ゲームとしての完成を
見たともとれる。いずれにしてもこれは「リ
メイク」という行為の超模範であると言えよ
う。「よくやった!」と大いに称えたい。


 リメイクというものは、つい余計な
物までゴテゴテ加えてしまい、装飾過
多化してしまいがちである。そしてそ
の末に自滅――そうやって自分自身ば
かりか、偉大なオリジナル作品の名ま
で汚してしまったものの何と多かった
ことか…。メディアを問わず、リメイ
ク着手においてはこの『スーパーバー
ガータイム』を見習って、オリジナル
に恥じない仕事をして欲しいと切に思
う。その様にして、先達の遺した偉業
を受け継ぎ、より良く発展させるのが
後進の務めではないだろうか?

最終ワールドともなると、敵も総出でお出迎え!
しかし、見た目だけだと緊張感全然無いよな〜…。











極上メニューの陰に…

 上記のレビューで紹介
した通り、かなり秀逸な
アクションゲームである
本作。にも関わらず、発
売当時から今イチマイナ
ーで、話題に上ったこと
は皆無に近い。ゲーメス
トでもロクに記事が組ま
れなかったし。
 この冷遇の実状は、同
年に『ファイナルファイ
ト』『戦場の狼U』みた
いなゲーセンを揺るがす

遂に最終ボス・キング(仮称)との決戦!
マスタードたっぷりの特製バーガーで、バカ王にお仕置きだ!
大作が多数出たからであ
ろう。実際、筆者もゲー
センにいる時間のほとん
どを、それらのプレイと
順番待ちに費やしていた
しなあ。
 本作みたいな地味系ア
クションは、大作群の台
頭する陰でひっそり稼動
しているという有様であ
った。それに気付けなか
った当時の自分の浅はか
さが悔やまれる…。



キングを凹ませ、妻と共にハンバーガーカーで凱旋!
マックも、モスも、ロッテリアもひれ伏すべし!
 今じゃなかなかお目に掛かれ
ない作品だが、エミュレーター
等で見付けられたら是非やって
みて欲しい。昔のゲームの盲目
的なハマリ性と、現代的なフュ
ーチャーの豊富さを兼ね備えた
堅実作品なので。むしろ、そう
いう作品こそを今のゲーム業界
に復興してもらわなければ!
 明日のクリエイターを目指す
諸氏、『スーパーバーガータイ
ム』から「温故知新」って奴を
学んでみてはいかが?

(C)DATA EAST 1990

MEMORIAL GAMESに戻る



















































おまけ

 余談だけれど、このゲームに出てくるハンバーガーとか食材って本当に美味しそうなのよね〜。
やっている内に確実にハンバーガーが食べたくなってくるし。ファーストフードショップの前とか
に稼動させといたら、かなりの集客効果が見込めるんじゃない?

メガマックも真っ青の、超多段ハンバーガー完成!
トンカツみたいなパーツは、潰された敵が変化した「肉」。

ギネス挑戦とかで本当にありそうな、ギガント級バーガー!
作ったはいいが、ひと口で全段かぶり付ける奴っているの!?


 メタボ大国アメリカじゃ、子供の食生活への悪影響を考慮し、ファーストフードのCMに規制が
かかっているという(何を今更…)。確かに深刻な問題だけれど、この際それは置いとけ! ハン
バーガー食いながらやろうぜ、『スーパーバーガータイム』!


MEMORIAL GAMESに戻る