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   旅は道連れ 世は情け…

題目:キングスナイト
                     
■メーカー:スクウェア
■メディア:FC
■ジャンル:RPG?
■発売年 :1986年




ロビンマスク」「じじい」「ガチャピン」「ガキ
いや、発売当時みんなそう呼んでたのよ、本作のメンツ…。











「RPG」=「役割を演じる」

 80年代中期、FC界は空前のRPGブームに沸いて
いた。
『ドラクエU』『ゼルダの伝説』『リンクの冒険』等
のヒットにより、二番煎じやPCからの移植作が出る
こと出ること! その大半がヨーロピアンファンタジ
ーの世界を下地にしていたせいで、まだ幼かったFC
ユーザー達には「RPG=剣と魔法の世界」という観
念が刷り込まれてしまったフシがあった。メーカーは
メーカーで、単に騎士や魔法使いが出るというだけで
「RPG」のつもりでゲーム出しちゃうし。何かしら
ブームが起こると、いつの間にか本筋を逸脱して名前
だけが独り歩きしちゃうっていう典型例かねえ。


 そして、数多くの「剣と魔法」ゲームの中でも一際異彩を放つものがあった。それが今回のテーマ『キングスナイト』。











元祖「キャラ系STG」?

 ゲームの流れは全5部構成。
 騎士・魔法使い・モンスター(ガチ
ャピン似)・盗賊の4人のキャラが順
に出番をこなし、最終章で全員集結し
てボスとの決戦を迎えるというもの。
おお、『ドラクエW』に先駆けること
4年、オムニバス形式のストーリー展
開を織り成しているではないか。導か
れし勇者達が結集して巨悪に立ち向か
う…うーん、やはりこういうシチュエ
ーションは燃えるよねえ。右のキャラ
紹介を見る分には、緊張感や意気高揚
は全然起こらないけれど…。

サブ画面。ここでレベルとステータスを確認。
バルーサとトビーのカワユさが何とも…。



恐ろしげなドラゴンの像の並ぶダンジョン。
一見ドラクエチックだけれど、やると全然違うよ^^
 戦闘によってキャラ達を鍛え上
げ、アイテム入手によりステータ
ス増強。強大な魔法で群がる敵を
一層――こう書くとごく一般的な
RPGっぽく思うだろうけれど、
本作はそんな生易しいものでは済
まなかった。
 この『キングスナイト』、ファ
ンタジー世界に姿をやつしてはい
るものの、ゲームとしての作りは

シューティング
なのである! 開
発者は飽くまでRPGって言い張
っていたらしいけれど…。











企画者のオツムの構造見てみたい

 ざっと説明すると、ゲームプレイは強
制縦スクロールで進行。
 プレイヤーはステージごとの主役キャ
ラを操作し、剣や魔法に名を借りた弾丸
をバシバシ撃ちまくって敵を倒しつつ進
んでゆく。グラフィックは確かに「幻想
の世界」しているものの、ゲーム性やキ
ャラの動きはまさしくSTG! 見た目
がSFかファンタジーかというだけで、
実質内容は『スターソルジャー』とかと
変わらないんだよな〜。このゲームに限
らず、STGなんてグラフィックが違う
だけのものだけれど…おおっと。

騎士が何か弾丸をバシバシ撃ちながら進撃…。
あまりにと言えばあまりにシュールな光景(゜д゜)


 むしろ、通常戦闘機とかが
繰り広げているアクションを
人間やモンスターにさせちゃ
うと、ただそれだけで滑稽で
ある。
 画面前方からモンスター軍
団がワラワラ迫ってきて、そ
れをMy勇者が剣や魔法の弾
で迎撃…。発売当時は無我夢
中でやっていたけれど、今見
直すと失笑もんである。どう
見たって冗談か喜劇の世界な
んだもん、この戦い。

廃墟の街を征く、老魔術師一人!(中央のハゲ)
敵はサソリに竜巻、白バッファローマン…。
『ゴレンジャー』『快傑ズバ
ット』とかと同じで、開発者
もどこまで真面目に作ってい
たのか判らないよな〜。そり
ゃ作っていた時は一生懸命だ
ったんだろうけれど、当時の
仕事たる本作を今見直せばど
う思うことだか。筆者なら顔
面ファイアー確実だが。
 いつの世も、ノリと勢いで
やってしまったことは、後で
冷静に思い直すと一生涯の業
苦としてのしかかるもの…。



レイジャックを先頭に、いざラス面進撃!
どこかの赤の国にも負けない隊列美を見よ!
 それでラストの5面では、1〜4面の主役達
がパーティを組んでボスのドラゴンを目指すこ
ととなる。パーティと言っても、これが何とも
滑稽。「4人でひし形の陣形を組んで、ひと塊
になって進む」というものなのである。
 この光景が、大人になった今の目で見ると実
にオカシイ! だって、進む時もジャンプする
時も、常に陣形を乱さずにひと塊なんだもの。
4人パーティというより、実質的にはでっかい
戦艦で進んでいるみたいなもの。これだけ一糸
乱れぬフォーメーションを維持するのには、相
当綿密な練習を積んだんだろうなあ。


 しかも、4人が固まってできた陣形だ
から、当然当たり判定のデカさもそれま
での4倍! そしてストレスの方は4倍
じゃ済まないってなものである。このラ
ス面で一挙にプレイ意欲が萎えたユーザ
ーも多かったんじゃないかな〜。
 実際、今尚根強くプレイしている筆者
でも、イライラが頂点に達してリセット
ボタンを連打することがしょっちゅうで
ある。一体、誰の腕前を基準としてこん
な難度に設定したのだろうか? 開発ス
タッフはよっぽど腕利きゲーマー揃いな
んだろうなあ…。

悪魔像の猛攻に追い詰められる一行。
それでも散開しないのは、その絆の強さ故?



強制スクロールと敵の猛攻の中、アイテム発掘。
この修羅場の最中、一瞬で判別できたらすごい!
 他、地形を徹底的に壊さないと重
要アイテムが見付からなかったり、
それを全員が担当のステージで入手
しておかないとラス面で死亡確定だ
ったりと、当時のゲームらしく超荒
削り! パッケージのカッコよさと
は裏腹のゲーム内容と難易度だった
から、買って「見誤った!」と己の
軽率さを嘆いた人も多かったんじゃ
ないかな〜(筆者は好きだったけれ
ど)。本当、「剣と魔法の世界」を
鵜呑みにするのは危険極まりない。











いいところもあるんですよ、この子

 しかしこの『キングスナイト』、遊べないゲ
ームかと言ったら決してそうでもない。確かに
不条理さや辛い点も多々あるんだけれど、不思
議と繰り返しプレイしてしまうんだよねえ。単
なるSTGと割り切ればそこそこ楽しめるし。
 ちなみに、一度でもラス面まで行った後は、
キャラを選択して何度でも再プレイが可能。そ
うした救済措置のおかげで、テクニック向上と
アイテムコンプリートを目指して再挑戦…てな
流れが自ずと生まれてくる。ここからは確かに
達成感や満足感が得られるし、それが本作の長
所と言える点なんだろうなあ。

繰り返しプレイでゲームの流れを研究…。
「学習」は全てのゲームの基本なり(本作は特に)。


 これでもうちょっとユーザーフレンドリー
だったらより遊べるゲームだったのに…と思
うと、全くもって残念。
「ラス面での当たり判定は先頭キャラのみ」
「ジャンプ中や隊列変更時等、無防備の間は
無敵状態」といった具合に、遊び易さを念頭
に置いた配慮があれば…。このゲーム、改良
の余地はかなり高いぞ!

魔法のひとつ、ザイネン(ペガサス変化)。
こういう演出面には秀でているんだけれどな〜。

ついにラスボス・ドラゴンと対峙。
対決以前に、ここまで来られたのがまずすごい!











これもまた「スクウェアの子」


みんなで力を合わせて、ついにプリンセス救出!
でも、オイシイ所取りはやはり戦士系(゜д゜)
 何も知らない人には「これってデコゲー?」
と思われかねないこのゲーム。あのお高いスク
ウェアだって、かつてはこういう闇雲なゲーム
作りをしていた時期があったのである。荒削り
な時代って、荒唐無稽な夢があっていいなあ。
 それが『ファイナルファンタジー』で大山当
てて以降はどうだか。「スクウェアは『FF』
みたいなゲームを作るメーカー」というイメー
ジを崩さないために、すっかり冒険をしなくな
ってしまった。今のスクウェア的に、『キング
スナイト』はまさに「認めたくない若さ故の過
ち」に他なるまいて…。


 そんな体裁によって闇へ葬られることなき様、『キングスナイト』がちゃんとスクウ
ェア列伝に刻まれることを望む! そしてできれば、上で書いたみたいに問題点をキッ
チリ解消して、より遊び易い形となってリメイク復古されることを…。


(C)SQUARE 1986

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