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さっきの敵は今の駒…

題目:フィールドコンバット
                      
■メーカー:ジャレコ
■メディア:FC(元AC)
■ジャンル:シューティング
■発売年 :1985年



 ジャンルは一応STG。その実態は、様々なユニットを駆使して戦局を担う戦略シミュレーション
なのである! 一応ね…。











獲って獲られて花いちもんめ

  舞台は近未来の地球。フォゾムなるマッドサイエン
ティストにより、洗脳マシン「NIP」開発。これに
よって、世界中の人間が同士討ちを繰り広げるという
大惨劇が勃発してしまう。連邦軍はこの状況打破のた
めに、洗脳解除作用を備えた新兵器「キャプチャービ
ーム」を開発。これを搭載した攻撃母艦「ジェネシス
−3」を戦場に投入した――。
 ――というのがバックストーリー。この設定がなか
なかどうして、上手くゲームシステムに反映されてい
るんだよねえ。


 プレイヤー機は上で書いたジェネシス−3。
アダムスキー型UFOのてっぺんにアンテナが
くるくる回っているという奇天烈なデザインだ
が、これでも人類の希望の担い手である。名前
が「ジェネシス」だからといって『ゼビウス』
の要塞を引き合いに出すのは野暮ってものだ。

初見の人には、一体どれが自機なのか解るまい。
真ん中下の青い兵士じゃないよ!

主力兵器のミサイルでバシバシ撃っている所。
洗脳された同胞だろうと、自己防衛の為には…。


 しかし、デカい要塞だから動きがニブい
のは納得するとして、砂地とかスリップゾ
ーンの影響を受けるのはどうして!? どう
見たって宙に浮いて移動している筈なのに
…。この辺の考証はけっこう雑だなあ。
 他、兵士のバズーカ砲一発で大破したり
等、おおよそ「戦闘母艦」というイメージ
からはかけ離れた珍要塞である。要塞界広
しと言えど、このジェネシス−3ほど冴え
ない要塞は無かったのではないか? 大空
魔竜・ジャスダム・ホワイトベース等、偉
大な先達を見習って欲しいと思う。

画面中の渦巻きがスリップゾーン。
乗り上げてツルツルしている所に砲撃でドッカン…。


 デザインや使い勝手はまあ置いといて、要塞らしく兵器はちゃんと備わっている。
まずひとつが攻撃の基本であるミサイルだが、それはまあ別にいい。大事なのはもう
ひとつの方、ゲームの要とも言えるキャプチャービーム!



赤の兵士(他意無し)に、キャプチャービーム照射!
君も今日からは僕らの仲間♪
 これを照射された敵戦力は、倒されずに
自機に収容される。そうなると洗脳から解
放され、今度は自軍の戦力として扱うこと
ができるのである。おお、敵キャラを傘下
に加えて戦うというシステムを、『ポケモ
ン』に先駆けて11年も前に扱っているでは
ないか!(『ギャプラス』なら12年前)
 そういや、同じジャレコ作品の『ファン
タズム』も、殺されて幽霊となった主人公
が周りの敵キャラに乗り移って活動すると
いうシステムだった。「敵の能力を利用す
る」というテーマに根深いものがあるのだ
ろうか、ジャレコ?


 兵士・戦車・ヘリコプター等、ユニットは全6種類。レバー左右で選択し、A&Bボタン
同時押しで戦場に投入。後は別にプレイヤーが指示する訳でもなく、各自の独断で戦ってく
れる。でも、オートバトルなんて良いものじゃなく、単なるランダムなんだよねえ。


 唯一のお利口さんのヘリコプターは別
格として、他のユニットはグラフィック
が違うだけで性能は一緒。しかも、動作
も照準もてんで当てずっぽうときたもん
である。だから、いろんなユニットを扱
えるという割に、あまり戦略的って感じ
がしてこないんだよねえ。
 AI(人工知能)のまだ無かった時代
とは言え、これはちょっと大雑把過ぎて
寂しい! まるで、一応チームバトルだ
けれどプレイはみんな転々バラバラな昼
休みのドッジボールみたいで…。

あちらは戦車とヘリ、こちらは高射砲と六輪車…。
ヘリの他は、見た目以外何も違わんよ!


 しかも、敵キャラは正確にこちらに向けて撃ってくるからもうひとつ気が滅入る。リメイクの機会が
あるのなら、せめて『ドラクエW』『機動戦士ガンダム 連邦vsジオン』みたいな簡単な作戦コマンド
を加えて欲しいと思う。やっぱ、自軍を指揮してこその「戦略」だもんね。




高射砲を捕らえ、撤退してゆくディオロフ。
まるでクレーンゲーム感覚…。
 ちなみに、ちょいちょい現れる敵要
塞「ディオロフ(こいつも円盤型)」
が、参戦中のこちらのユニットをかっ
さらってゆくことがある。連れて帰っ
てまた洗脳し直すのであろう。成す術
無く捕獲され、悠々と連れ去られてゆ
く自軍戦力――その光景はまさに、宇
宙人によるサンプル用地球人の拉致!
 あちらもこちらもUFO、拉致して
洗脳支配、光線で収容――陰でプロデ
ュースしたのが矢追純一さんじゃある
まいな?











コレクター魂燃ゆる!

 ま、上で解説した様に、自軍キャラは
はっきり言ってアテにならない。いくら
投入した所で、結局は母船である自機の
孤軍奮闘になるのが通例パターン。洗脳
されている同胞達には申し訳無いが、無
理にキャプチャーせずにミサイルでバシ
バシ仕留めた方がゲームがスイスイ進む
んだよねえ。
 しかし、敵がワラワラ動いているのを
見ると、どうしても自軍に吸収したい衝
動にかられてしまう。キャプチャー中は
3秒くらい無防備になるし、その間に攻
撃される恐れがあるのは解っているんだ
けれどな〜。

敵からの射撃範囲でのキャプチャーは自殺行為!
それは解っているんだけれど、つい…。



このステージでの釣果(^^)は兵士二人。
全ユニット9機までの道程は遠い…。
 これは恐らくあれ、「コレ
クター魂」というものであろ
う。使い勝手うんぬんはとも
かく、手に入るものはきっち
りコンプリートしたいってい
うあの精神。
 上で散々書いた通り、ヘリ
コプター以外のユニットはて
んでアテにならない。が、ど
うせ使わないと解ってはいて
も、所有ユニットの数がどれ
も最高値の9体になっていな
いと何かスッキリしないんだ
よねえ。
 そのために、被弾のリスク
を承知でキャプチャーしまく
り、自軍の戦力と物欲をただ
ただ満たすという痴れた行為
に及ぶのであった。その結果
が、戦力とコレクター魂で満
たされきった母船の、ただ一
機での進軍――いや、バカな
行為ってことは重々承知して
いるんだけれどさ。
 どうせ投入した所でロクな
活躍をしてくれないし、それ
に使っちゃうのももったいな
いし…(倒)。











今こそ復古の刻!?

 高度な戦略ゲーム足り得る資質を
持ちながら、作りの大雑把さによっ
て大味ゲーに終わってしまった『フ
ィールドコンバット』。ゲーセンと
かでもカード式シミュレーションや
軍事系バトルが流行っている昨今、
是非ともリメイクに期待したいもの
である。ほんのちょっと改良がなさ
れれば、かなり遊べるゲームになる
のは間違い無いと思うので。
 今や完全に他企業の子会社のジャ
レコだが、またそういう形でゲーム
事業に復帰してくれないかな…。

敵戦力を撃滅し、敵陣制圧!
洗脳されていても、降伏する判断力はあるとは…。


尚、リメイク実現の暁には、自機のデザインの再考を強く願う(いやホント)。


(C)JALECO 1985

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