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 貧しさに負けた?
いや、名前に負けた…


題目:ファザナドゥ
                            
■メーカー:ハドソン
■メディア:FC
■ジャンル:アクション&RPG
■発売年 :1987年



「ド」は『ドーナツ』の「ド」、「レ」は『レモン』の「レ」、
「ミ」は『みんな』の「ミ」、「ファ」は『ファミコン』の「ファ」?











古き良き、かつ新鮮!

 自分的に、ファミコン史上でベスト5に入
る作品である。発売当時はやるチャンスが無
く、雑誌の紹介記事を見て「あー、何か面白
そう」と思っていた程度だけれど^^
 それから20年くらい経ってから、中古がい
い値段で出回っていたので遂に購入! それ
が真の馴れ初めだったりする。最近多いよな
あ、こういうパターン。

長旅より、エルフの国に帰還した主人公。
それが新たな冒険の幕開けになろうとは…。

王様より、ドワーフ族の異変を告げられる。
つか、この王様こそがドワーフなんじゃない!?


 簡潔に説明すると、ゲームシステムは
『リンクの冒険』っぽいアクション系。
日本人好みのヨーロピアンファンタジー
を下地としたRPGである。
 多少クセのあるものの、アクションゲ
ームとしての動きのキレは決して悪くな
い。音楽やグラフィックといった演出面
でも、当時のハード性能としては最高水
準と言い切ってよい出来だし。FCサー
ドパーティ最古参たるハドソンの底力を
感じさせてくれるなあ。やっぱり当時の
筆者の直感に狂いは無かった…。

いざ、救国の勇者が発つ! 
己が双肩に、一族の、世界の存亡をかけて…。


 と、少なくとも筆者個人は秀作に位置付けたいと思う本作であるが、発売当時は雑誌等でもロクな扱いを受
けていなかった。と言うか、前評判は高かったけれど、発売した途端にそっぽを向かれちゃったんである。何
故かって? そりゃ本作がそのタイトルに『ザナドゥ』を冠しているから…。











ネームバリューの業

そもそも『ザナドゥ』とは、元々はパソコンで発売された国内産RPGである(日本ファルコム・1984年)。



不滅の超大作の呼び名も高き、本家『ザナドゥ』。
冒険心と闘志の掻き立てられる、このOPにひれ伏すべし!
 キャラクターメイキングに伴うゲームバランス
の変化、カルマ(業)の値によるプレイへの影響
…等々、当時としてもかなり斬新なシステムを有
していたことで知られている。販売本数40万本超
・雑誌ランキングで17ヶ月連続トップ等、数多く
の金字塔を打ち建てた、並ぶもの無き不朽の超大
作である。
『ウィザードリィ』の影響を受けていたことは否
めないが、我が国のRPG文化もなかなかやるじ
ゃないか。ウィンドウズでも2004年に復刻版が出
ているし、興味をそそられた人は是非ともプレイ
されるが良し。


 当時のFC市場は、アーケードやパソコンからの
移植ものが多数幅をきかせていた。当然、この『ザ
ナドゥ』も程無く移植が決定!
 そんな超大作がFCに来るっていうんで、ユーザ
ー間では話題沸騰。パソからのファンは「FCに遊
び易い形で移植される!」と歓喜し、未プレイ者は
「そんな凄いゲームがFCでもできるのかー」と未
だ見ぬ大作に大期待。FCユーザーには信頼厚いハ
ドソンが移植元ということもあり、FC版『ザナド
ゥ』への期待は否応無しに高まっていった…。

で、これが実際のゲーム画面。
これだったらFCの方が遥かに優れているぞ!!^^



上の写真と似たカットを一枚。確かに全然違うが、
ゲームとしてはこちらの方が面白そうに…(゜д゜)
 そして1987年、待望のFC版たる『ファザナ
ドゥ』発売…された途端、大勢のユーザーから
ボロクソに酷評を受けたわけ。だって、期待に
胸を膨らませて待ち望んだFC版は、パソコン
版とは似ても似つかぬオリジナルACGだった
のである。
 パソ版ユーザーからは「コイツのどこが『ザ
ナドゥ』じゃ、コラァ!!」と憤怒されるし、そ
のパソ版の移植を期待していた未プレイ者には
「何コレ、全然違うじゃん…」と落胆される有
様であった。購入即日で中古ショップに叩き売
った人も多かったと見え、発売早々に大幅値崩
れ! 地味ながら社会的現象と言えたかも知れ
ないなぁ、この醜態…。


 何でそんな、パソ版と全然違
うゲームにしてしまったのかは
今尚知れない。
 元々は原作通りの移植を目指
していたが、ハードの性能か大
人の事情だかでズルズルとあん
なゲームにしてしまったか。そ
れとも、未熟なFCユーザーに
は原作通りの内容についてゆけ
まいと判断し、遊び易い別のゲ
ームを作ってしまったのか。そ
して、一応『ザナドゥ』の移植
を進めていたから、せめて名前

魔法の修行場にて。頼っちゃいけないのは、
魔法ではなくてゲームタイトルだったのでは!?
だけでも…ってとこかねえ。何
であれ、要らぬ気遣い甚だしい
んだけれど。
 いずれにしても「FCで『ザ
ナドゥ』ができる!!」というユ
ーザーの期待を思い切り裏切っ
たのは揺るぎない事実。これに
関しちゃ庇いきれんわ、さすが
に。『ウィザードリィ』を完璧
以上にFC移植したゲームスタ
ジオなら、ユーザーの期待通り
のFC版『ザナドゥ』を実現し
てくれたかもな…。











独立すべきだった!

 しかしながらこの『ファザナドゥ』、駄ゲーな
のかと言ったら決してそんなことはない。冒頭で
も書いた様に、ゲームシステム・演出・シナリオ
等、どれをとっても水準値以上のクオリティを成
し得ているのである。
 かなり玄人好みの仕上がりであるし、ひとつの
ゲームとしては充分に及第点が付けられる出来と
確信して言える。実際、パソコン版を意識せずに
プレイした人からは、なかなかの良作であったと
いう声が聞かれる場合が多いし。無論、筆者もそ
う評定を下す一人。元々のパソコン版のファンだ
ったらどうだったか判らないけれど。

街の中。緻密に描き込まれたグラフィックからは、
安堵感よりはむしろ終末感による鬱なムードが…。



そびえ立つ塔。こんな所にはお宝と冒険が…。
ちなみに、無意味なハッタリダンジョンも有^^
 例の「パソコンと全然違うじゃん!!」の件に
よってロクな扱いを受けられなかった本作であ
るが、正当な評価をされていればFC史上でも
屈指の名作に数えられていたことは確実であろ
う(個人的主観強し)。本当つくづく惜しい。
 パソ版のネームバリューを背負ったのが、む
しろ大いなる十字架となって本作を苛む結果と
なった訳なんだよな〜。マーケティングとユー
ザー心理って本当に難しい。ああいうゲームに
なってしまった時点で「すみません、『ザナド
ゥ』の移植は中止になりました」の声明を出し
て、本作をオリジナル作品として送り出すべき
だったかな…。











この者の、再審と名誉回復を望む!

 いずれにせよ、この『ファザナドゥ』をこのま
ま歴史の闇に埋没させるのはあまりに惜しい! 
推理小説の祖と謳われるエドガー・アラン・ポー
が没後にやっと認められた様に、今からでもその
完成度が評価されるべきだと筆者は主張する。本
文を読んで少しでも関心を持った人は、中古店を
地道に回ってソフトを入手して欲しい。絶対に損
はさせないし、むしろお得だと保障するので^^

中ボスの一種・リパーシェイク。
最初のボスキャラにしてゲーム中最強の敵…。

ウィンドウを開いてステータス確認。
アイテムにグラフィックがあると妙に嬉しい!?


 そして何より、かつてオリジナル
とのあまりの違いに本作を撥ねつけ
た『ザナドゥ』フリーク諸氏よ。お
怒りはごもっともだが、もう許して
あげてもいい頃であろう。そのわだ
かまりを水に流して、一作品として
の『ファザナドゥ』に触れ直してみ
てはいかがであろうか?
 大人の気持ちで、改めてコントロ
ーラーを構え直してみるとよい。当
時は怒りに振り回されて見えていな
かったものが、輝きを帯びてくる筈
なので…。

ドワーフ王・キンググリーブの成れの果て。
実は彼はある秘密を…(涙)。











手付かずの至宝


諸悪の根源・法王シャドウ・エウラー。
奴を討ち、大樹の世界に平和を取り戻せ!
 重ねて言うが、本作の出来は珠玉も
の! 今の時代でも全く古臭さを感じ
ずプレイできる。しかも、例の『「パ
ソと全然違うじゃないか!」事件』の
アオリで、当時はゲーム雑誌でもロク
に攻略記事が組まれなかった。おかげ
で、ほとんど情報の無い新作同然の状
態でプレイできるのである。何が幸い
するか判らないよなあ、本当…。
 とりあえず、今こそが『ファザナド
ゥ』に触れるチャンスなのでお見逃し
無く。このコラムのおかげで中古価格
が高騰する前に、是非とも☆


 今はネットのおかげで情報には困らな
いけれど、筆者は敢えてよそからのヒン
トに頼らずにクリアを達成した! ほと
んど未知のゲームに触れられるまたと無
いチャンスだったし、自力で制覇して完
全勝利宣言をしたかったから。それだけ
に、物語の全てを独力で解き明かせた時
の満足度は最高であった…。
 その達成感と、EDを拝んだ時の心地
良き虚しさ、みなさんも是非その身で味
わってもらいたい。大事なのは結果より
も、それに至るまでの過程だということ
を心底から感じられるので…。

緑と平和を取り戻し、故郷を後にする主人公。
その行く手に求むるは、新たなる冒険!


締めのひと言
「『ザナドゥ』の色眼鏡越しでは、『ファザナドゥ』の姿は見えてこない」



(C)HUDSON SOFT 1987

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おまけ

発売当時のことだが、筆者がこの『ファザナドゥ』に魅せられた一番の訳がコレ。


ジャーキーみたいに、クチャクチャ噛んでいると
濃厚な旨みがジワジワ口一杯に拡がるイメージが…。


雑誌の紹介記事で見て、一発で食欲を炎上させられた。食べてみてぇ〜って(^к^)
『ギャートルズ』『ハイジ』世代だったら、この手の「肉」に魅せられざるを得ないよねえ。



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