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■メーカー:ジャレコ ■メディア:アーケード ■ジャンル:シューティング ■発売年 :1983年 |
ジャレコがまだ、精力的にアーケードゲーム産業に取り組んでいた時代の一作である。かつては けっこう野心的・革新的なメーカーだったんだよなあ。デコとはまた違った感じの…。 |
ゲームシステムを簡潔に述べると、任意方向制スクロールの縦型シューティング。自機を進めた方に 画面が動き、上部から襲い来る敵を撃墜するというものである。 |
「画面上部の敵をプレイヤーが下から撃つ」 この形式は、古くは『インベーダー』『ギャ ラクシアン』の頃から、そして現在に至るまで の縦スクロール系STGも継承している超オー ソドックスなシステムと言える。更には、 「任意方向制スクロール」 この形式のゲームも『ボスコニアン』『バン ゲリング・ベイ』等そこそこのタイトルが存在 している。そうした既存のシステムの流用作品 ならば別に珍しくはないが、本作『エクセリオ ン』はそれらに埋没せず、ユーザーの記憶に刻 まれることに成功している。そこには当時のジ ャレコの工夫があったわけであるが、その辺り を改めて検証してみたいと思う。 |
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まずはゲームの舞台となる戦場であるが、敵軍ゾルニの侵攻を受けている惑星エクセリオンの上空。 プレイヤーは自機「ファイターEX」を操り、その空域で来襲する敵軍とまみえることとなる。 |
ポイントはこの「空域」。ステージは何画面分かの範囲があり、プレイヤーの進行に合わせて スクロールする。自機と敵機はその範囲内において、撃ち合いかわし合いの激戦を展開するわけ である。文だと伝わりにくいが、万人に解る様に例えるとこうであろう。 「サイヤ人来襲以降の、ほとんどSF化して空中でもボコボコ殴り合いや撃ち合いを繰り 広げる『ドラゴンボール』」的戦闘^^ |
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これは今見ても非常に斬新な形式であったと思 う。他の作品は「一方的に来襲してくる敵を迎撃 (固定画面系)」もしくは「敵を撃墜しながら進 行(スクロール系)」なのに、この『エクセリオ ン』は自機と敵機の条件がほぼ対等なのである。 これも解り易く言うと「ドッジボールで、相手チ |
ームは全員残っていて、こちらは自分が最後の一 人」ってところだろうか。多勢に無勢という差は あるものの、基本同じ土俵とルールで戦っている という印象を受ける。「戦う条件が一緒」という のは、ゲームにおいては実に希少な事例であると 言えよう(スポーツ系でもない限り)。 |
他のSTGは、固定画面系は自機の行動範囲 が非常に制限されていた。スクロール系にして も、ステージ構成からして敵軍本位に設定され ているものばかりであるから。それだけに、こ の『エクセリオン』のゲームシステムはなかな かに斬新であった。 自分も相手も同じステージを共有し、そのフ ィールド内を思うがままに飛び回る。そうして 戦力差以外はほぼ五分の条件で戦うのである。 そのくらいプレイの自由度は高く、それ故既存 のゲームでは得られなかった味わいを醸し出し ていた。よそのゲームと決定的に印象が異なる 最大の点はここであろう。むしろ、本作のシス テムを後に誰も流用しなかったのが不思議にさ え思える。実に面白いゲームシステムなのに、 「=『エクセリオン』」というイメージがすぐ 浮かんじゃうからか…。 |
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プレイヤー機「ファイターEX」には、二種類の武器が搭載されている。いわゆるツイン砲である 「デュアルショット」、そして単発の「シングルショット」。この2つの機銃を併用して、ゾルニ軍 団に対抗することとなる。当時のSTGで複数の武器を使用する例は珍しく、本作以外では『ゼビウ ス』くらいであったと思う(対空の「ザッパー」&対地の「ブラスター」)。もちろん、本作におい ても武器ごとに明確な使い出が打ち出されていた。 |
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デュアルショット
メリット… 二発同時発射なので命中させるのが容易。 デメリット…
連射が利かないためにスピーディな戦いはできない。 シングルショット
メリット…
超高速連射が可能で、編隊や耐久力のある敵も瞬殺。 デメリット… 弾数に制限があり、かつ単砲なので当たり判定が小さい。 |
双方ともに真逆の特徴を備えており、それぞ れの長所をどの局面で活かすかがゲームにおけ るキーポイントとなる。シングルの方は弾数制 限があるために、つい使い惜しんでデュアルば かりに傾倒しがちだけれど^^ しかし武器のその使い勝手、そして敵への攻 め方をしっかり踏まえられれば、状況に応じて 的確な対処が可能となる。それが結局は、有利 で長いプレイとハイスコアに繋がるというわけ である。性質の異なるショットを併用するだけ で、随分と戦略性が生まれるものだなあ。 「ラストは核で全てを吹っとばしてお終い」が オキマリな米国SF映画みたいに、「ヤバイ時 はBOM一発!」が慣例化している昨今のST G界に見習って欲しいものである。 |
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ゲームシステムに様々な工夫がなされていることは上記の通りだが、それ以外にもよそと差別化を 図るために力の入っている点がある。それはズバリ「演出」。 |
プレイヤー機は、戦闘空域を縦横無尽に飛び回って激戦を繰り広げることとなる。 その自機の操作なのだが、動きに「慣性」という要素が取り入れられている。真っす ぐ走っていて、カーブしようとすると外側に勢いが行ってしまうアレである。 |
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この「慣性」のおかげで、本作の自機操作は非常 に独自性を醸し出すこととなった。だって、飛んで いて急に方向転換しようとしても、それまで進んで いた方向への勢いが残っていて「グィイイン…」っ て感じに曲がっちゃうもの。他のSTGとかが例外 |
無く、方向キーを押している間だけ動き、急停止や カクカクした動作も何でもござれなのとは大違いで ある。むしろ、そうした動きの方が不自然で(ゲー ム的と言えるが)、『エクセリオン』の動作感覚の 方が現実的ではあるんだけれどね…。 |
ともあれ、この「慣性」のある自機操作は非常 に独特かつ面白い。他のゲームとは全然違う動作 感覚だけに最初は戸惑うが、慣れてくると本当に 自由自在にフィールド中を飛び回れる様になって くる。何か無意識の内に「あそこで曲がるにはそ ろそろレバーをその方向に…」とか、自機の動き を先読みして操作する様になってくるの。つまり は、知らず知らずの内に「慣性」というものを自 分のテクニックにしちゃっているってことなんだ よね。これが非常〜に気持ちいいの。元々クセの ある操作系だけに、それを思うがままに操れる様 になると快感ひとしおで…。 アクションならいざ知らず、「操作」自体が楽 しいSTGって本作くらいじゃないかなあ。他の 作品なんて自機の動きは味気無いし、「弾避け」 「障害物避け」の手段でしかないから…。 |
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この点は「ゲームシステム」に分類すべきではあるが、操作のシンクロ感の味わい深さから 「演出」として解説させて頂く。 |
他、敵は上空から攻撃してくるので、双方の立ち位置は当然ながら「プレイヤー=下」「敵機=上」 となる。しかし、『インベーダー』の頃から続く単純な「上下」関係でなく、これにもちょっとした工 夫がなされている。当時としては稀有なことに、本作のステージ演出は擬似的な3Dなのであった。 |
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時代が時代だけに、ゲームプレイそのもの は確かに2D(平面)。しかし、プレイヤー 機の動きに応じて背景や地上のグラフィック が動く動く! 上昇(奥に進む)すれば地形 もズズズ…と進んで行くし、下降(手前に戻 る)すればザザザ…と遠ざかって行くという 具合に。多重スクロールの効果も相成って、 惑星の上空を舞台に立ち回っているという臨 場感はバツグンである。地上にある遺跡や建 物のグラフィックも豊富だし、それらがスク ロールに合わせて迫ったり遠ざかったりする のもかなり芸コマ! ポリゴンの無かった時代に、手描きグラフ ィックでそれだけのパターンを用意するのは 大変だったろうなあ。スクリーントーンの模 様を全部手作業でやるみたいなもんか…。 |
上の方でもちょろっと書いたが、本当に『ドラゴンボール』を先取りしていたかの様な画面演出である。 「空中戦」をここまできめ細やかに描いた作品は今でもちょっと思い当たらない。この点において、『エク セリオン』は本当に最初で最後のゲームだったのかねえ…。 |
小学生の頃だが、これのFC版にはとにかくハマった! その独特の操作感覚もさることながら、 点数稼ぎがメチャ熱かったのである。 |
このゲームでは、弾を空撃ちせ ずに敵を撃墜してゆくとボーナス 得点が得られる。敵の編隊を全滅 させると、最後にデカデカとスコ アが表示されたりして真に気持ち がいい^^ しかも、無駄撃ち無し を続けてゆくとボーナス得点もど んどん上昇してゆく! 果ては、 敵一群の撃墜スコアで1UPして しまうほどに(そこまでもってい くのが大変だけれど)。 この得点システム――今風に言 うなら「コンボ」がすごく燃える んだよねえ。ゲームの本分はスコ ア稼ぎにあるってことを痛感させ てくれたものである。 |
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もちろん、一発でも空撃ちし ちゃうと点効率もリセットされ てしまう。故に、慣性のついた 大胆な操作に繊細な射撃テクが 要されてくるのであった。 最初は撃ち損じまくりでロク なスコアが得られなかったが、 慣れてくるに従って着実に成果 が生まれてきた。撃てば百発百 中、スコアは鰻登り――その自 己テクの躍進ぶりが嬉しくてね 〜。腕を奮う場が自宅で残念だ ったよ。ゲーセンだったら大勢 のギャラリーにお披露目できた のに…。今も昔も、自分の力を 周囲に見せ付けたいという気持 ちは皆同じ? |
既存のシステムを流用しつつも、
要所要所に独自のエッセンスを加味 することで他所と一線を画すことに 成功した『エクセリオン』。昔のジ ャレコはこういう発想力や思い切り に長けていて好きだったんだけれど な〜。今更原点回帰は求めないが、 こういう時代があったことも今や良 き思い出である。スコア稼ぎに燃え ていた少年時代とともに。 既に在るものも、ほんのちょっと の工夫によって味わいは大きく変化 する――そのことを示してくれた本 作の偉業は、あまりユーザーに知ら れることもなく地道にゲーム業界に 輝いている…。 |
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(C)JALECO 1983